エピソード9
うちのひいおじいちゃんは、御年96歳。
うちのひいおばあちゃんは、御年91歳。
おじいちゃんは施設にいるが、おばあちゃんはまだまだ家で元気。
こめじるしをオープンする頃には二人とも活動的で
じいちゃんは車の運転もしていた。
オープン前には二人で軽トラで来ては草取りをしてくれたり
持ってきたおにぎりをまだ未完成のこめじるしで一緒に食べたりした。
当たり前だけれど時は経ち、
じいちゃんばあちゃんも年を重ねた。
その時に一緒に過ごした時も、話したことも
忘れそうになっている自分にはっとする。
今のこめじるしがあるのは、じいちゃんばあちゃんのおかげ。
こめじるしは、私たちの力だけでは生まれていない。
エピソード8
朝来ると、玄関先に山盛りの野菜が置いてあったり
ある時はぬか漬けが置いてあったり
新しくランチを始めるとなると早速に食べに来てくれたり
見かけるといつも明るく声をかけてくれたり
すべてを書き始めるときりがないくらい
あたたかな、私たちにとって大切な
こめじるしのおとなりのお父さんお母さん。
こんな山奥だけれど、安心してお店ができるのは
お二人の存在がそばにあるからだと
いつもいつも、ありがたく思っています。
エピソード7
その方はいつも、1周年ごとに花束をくださる。
ふだんはドライフラワーや花束を
お願いするたびに素敵なものを作られる方だけれど
周年ごとに私たちにくださる花束は
お庭にある草花を使った、とてもさりげなくて美しい
その方らしい花束。
今年は9周年。その花束を受け取って
改めて自然を見つめる人は優しいと思った。
9年の間にいろいろなことがあったけれど
草花は変わらずそこに咲き、美しさは変わらない。
それを見つめ続ける人は、やはり変わらず優しいのだと思う。
エピソード6
こめじるしには連休に帰省のタイミングで来てくださる方が多い。
そう言っただけであの方も、この方もといろいろな顔が浮かぶのだが
お会いするスパンが長いため
連れていた小さなお子さんがぐんと背が伸びていたり
お子さんが生まれて赤ちゃんを連れて来られたり
その変化に毎回驚かくことも多く、うれしいことこの上ない。
その中でも県外に出られている方が
邑南町内の家族を連れて来られることも多い。
おじいちゃんお一人では足を運ばれたことがなかった場所。
家族に連れられて初めてこめじるしに来られたと
うれしそうに話される姿はいつもこちらがうれしくなってしまう。
エピソード5
ある時は、お店のパンフレット。
ある時は、イベントのフライヤー。
ある時は、おすすめ音楽を集めたCD。
ふらりと来られては、あらゆる情報をくださる
とてもセンスの良い男性がおられた。
私たちは名前も、お仕事も、年齢も何も聞かぬまま
来られるたびにいろいろな話を聞かせていただいた。
そのおかげで、新たなつながりが生まれたり
お店のBGMの幅も広がった。
そしてある時ふと、県外の実家に戻るので
来られなくなると言われたきり、お会いすることはなくなった。
「こめじるし」という存在でいるからこその出会いの形。別れの形。
私たちはさまざまな出会いのおかげで今、ここにいる。
エピソードの合間に
前回の投稿から長らく時が流れましたが
こめじるしの2人は元気に過ごしております。
エピソードの合間に近況などお知らせしておきたいと思います。
昨年秋に食堂ソイルをオープンし、慌ただしい日々を過ごしていましたが
長い冬を過ごしてやっと暖かい春が訪れ
今度は畑を耕したり、たかきび栽培の準備に忙しい時期にさしかかっています。
植えて、育てて、それをいただく、という営みごと楽しみながら
それを伝えるためにオープンした食堂ソイル。
私たち2人で取り組んでいるため、ペースもゆっくりで
途中いろいろな出来事も起こりますが
信念は変わらず、目指すことも変わらず、
今後もこめじるしと一緒にお客様に楽しんでいただけたらなと思っています。
自然と共に、自然のペースで。
迷ったらいつもそこにある自然が道標となってくれることを
日々ありがたいと感じる日々です。
エピソード4
「ライクアンテナ!」(アンテナみたい!)
当時生まれたばかりの長女の髪の毛が
そりたつように立派だった時期があり
毎週立ち寄ってくださっていた
外国人のお客さまがよく笑いながら言っていたことを
今でも覚えている。
熱心に日本語を勉強中のALTの先生で
笑顔がとても印象的な方だった。
任期があるので帰国され今はどこにおられるか
私たちには分からないけれど
こめじるしに立派な髪の毛の赤ちゃんが来てくれると
長女の当時の姿とともに彼女のセリフが蘇ってくる。