エピソード11
炊き風呂と家族
komejirushi
我が家は五右衛門風呂。
風呂の温度は薪を燃やす加減によるのだが
入った最初は熱くても良いけれど
子供たちが一緒に入る頃には多少ぬるめが良い。
そうなると微妙な燃やし加減が必要で
もはや毎日のことなので風呂を焚いてくれる
父さんはその要領を得ている。
しかしながら「熱い?」や」「もう少し燃やそうか?」といった
薪を燃やす人と入る人とのコミュニケーションが必要で
先に入った人は、後から入る人に
「もう少し燃やしとこうか?」といった気遣いも生まれてくる。
子供たちもいて忙しい中で
なぜあえて五右衛門風呂かと言われることもしばしば。
でも、生活の中で人が人のことを想像したり
思いやったりする機会は「自動」に囲まれるより
はるかに多いと思うのだ。
五右衛門風呂は大変。確かに大変。
けれど寒い冬に薪で温まった湯につかると
あたたまることはもちろん、家族の距離もぐんと近くなる。
つい忙しさに手放しがちな生活の中の色々な行為。
簡単に捨ててしまわずに、できる限りは大切にしたい。