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カマキリとお墓

komejirushi

閉店後、いそいそと家に帰る支度をしていると

駐車場で生き絶えてしまったカマキリがいるのを見つけて

「おかはを(お墓を)作らんといけん。おかはを。」と3歳の長女。

 

木の枝を2本拾ってきて、箸のようにカマキリを挟んで

車が踏みそうにない場所を見つけ穴を掘る。

中にそれを埋めてあげたあとは、お花をつんできて

「1本じゃ寂しいじゃろ。もう1本いる。」とまた探しに行き

つんできたお花を丁寧に埋めた場所に植えた。

 

その様子を眺めながら、私は先を急ぐことをやめた。

彼女にはその時、お墓を作ることが何よりやらなければいけないことで

私が帰って夕飯を作ることよりも、家事をすることよりも

大切なことのような気がした。

 

次の日お店に行くと、駐車場の端にお墓のそばに植えられた

昨日のお花たちがそよいでいた。

それを見た時、しばらく見つめていたいような

何ともあたたかな気持ちになった。

 

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