こめじるし

森の風景

2018/05/7

芽吹きたての葉が生い茂る青々とした森の入り口に

1輪だけ鮮やかなピンク色の椿が咲いていた。

位置も色合いも完成されすぎていて思わず見惚れる。

 

その椿が咲いている枝は

冬の間中降り続く雪の中にずっと埋もれていて

もう折れてしまったかと思うほどしなだれていた。

今年は重い雪のせいかその椿の木も弱り

咲かせたのはその1輪だけ。

しかも一番にしなだれていた枝の先。

 

その木に感情はない。

けれども計り知れない自然の力とメッセージを感じる。

どんなに厳しい環境下でも耐え続け、

たった1輪人の目を奪うほどの美しさで咲いた。

 

これだから、自然とともに生きたいと思う。

長い冬を越え、声が聞こえそうなほどの勢いで芽吹く木々たち。

そんな変化は四季折々、季節ごとに起こる

ありふれた自然の出来事。

けれどもどんな映画を見るよりも、どんな小説を読むよりも

ドラマチックに思えてならない。

 

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