おおじいじと種
2020/07/6
私の父方のおおじいじ(祖父)は91歳になるがとても元気だ。
お酒を飲みながら人と話すことと
畑で野菜を育てることが生きがいだと言う。
「わしゃー、毎日種と芽のことを考えちょる。
今日蒔いたあの種が何日には出るだろう思うて、そればっかり考えとるんじゃ。
そいじゃがの、こないだ蒔いた種がいっそ芽を出さんことがあってから
そうしたら横の方から思わんところから芽が出とったんじゃ。
あー、人生ちゅうのうのはそういうことかも分からん思うての。
ほんにおもしろいわ。」
私が実家にいた頃ほどの元気はなく、体も随分と衰えたおおじいじ。
だけれど小さな種を蒔き、その成長を見つめながら
きらきらした目をして暮らしている。
私がもし同じぐらいの年齢まで生きられたとして
どんなことを思うのだろうか。
その時きっと、おおじいじの言葉を思出だすだろう。
種をまき、それが芽を出し、成長すること。
そのことは野菜作りという言葉ではくくれない
じいちゃんの言う生きることの真理が
つまっていることのような気がしてならない。
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