仕入れの旅 01
島根県松江市玉湯町。
旅のはじまりは湯町窯から。
色とりどりのスリップウェアのように
いつも元気なお父さんが、今日もちゃきちゃき対応してくださる。
品定めの合間に「ちょっとちょっと」と奥の部屋へ。
行ってみるとそこには、エッグベーカーにほかほかの卵。
ここでしか見られない貴重な品々に囲まれて
はふはふいただくそれは特別な味がした。
つづいては、鳥取県境港市。
伯州綿と呼ばれるこの土地で昔から育てられてきた綿による
「弓浜絣」の伝統を守る「工房ゆみはま」。
丁寧に対応してくださるその姿に
ものづくりへの真摯な気持ちが伝わる。
ああこの品物たちと丁寧に販売しなくてはと
気が引き締まる思い。
茶色の綿を初めて目にした。色をつけたものではない。
もとから茶色い色をしているものは、この地方独特のものだそう。
やはりものづくりに向き合う方との時間はうれしい。
テレビやインターネットの情報ではない
毎日土や、綿や、糸に触れてそれらと会話して
疑う余地のない自然の摂理とともに生きている方たち。
もっとお話を聞きたい。
身土不二
自論。
一緒に餅をつくことは家族の証なのである。
実家では、1年に1度家族全員で餅をつく。
結婚してからも、家族で餅をつくことができる環境にいる。
こちらでは「寒餅」とか「寒水」などと言い
正月から2月3日までにつく餅は大変に良いそうで
節分までは幾度となく餅をつくのだ。
実家のように外で火を炊き、米を蒸すようなことはしないが
それでも、あれやこれやと話しながら
餅を祖母がちぎっては、揉む作業は
楽しくてうれしくて、なつかしい。
この土地の、この家族の伝統を継承しよう
などと鼻息荒く挑んでいるつもりはないのだけれど
昔から大切にしてきた家族の習慣が
新たな土地でも同じということが何ともうれしい。
あんこ餅に使うあんこは、祖母が育てた小豆で作る完全手作り。
この土地で育ったものを、季節とともに、この土地のならわしに従っていただく。
「身土不二」。お店でも私たちが伝えたい、大切にしたいこと。
家の息吹
店舗となる建物の内部解体が始まった。
雨の日も、雪の日も、
30年以上この家を支え続けた柱があらわになり
ひっそりと、そこで呼吸をしていた。
この場所を大切にしてきた家主さんとともに
寄り添い続けた壁や畳を失ったせいか
少し寂しそうにも見える。
この度の工事で、何本かはその使命を全うするが
のこりの柱たちはうれしいことに家の別の場所で
新しい役割を担ってくれるのだそうだ。
庭にある小屋では、
家を建てる時のものと思われる
間取り図を見つけた。
別荘としてこの家を建てた前の家主さんも
きっと今の私たちと同じ気持ちでいただろう。
そう考えると建物への愛着もひとしお。
今も、昔も「はじまり」のそばにある柱たちに支えられて
家の命は途切れることなく、これからも引き継がれる。
日をめくる
今年から我が家では日めくりのカレンダーを使っている。
たまたまいただいたものではあるが、
この「めくる」という行為がとても新鮮なのである。
ついでにそこに書かれていることわざを読み
ふむ、と今の状況に置き換えてみては
朝から感慨深くもの思いにふけっているのだ。
新しい年が明け、1日1日を何の意識もなく
ばたばたと過ごしてしまいがちな中で
この朝の「ひとめくり」は、よし今日という1日が始まるぞと
一呼吸くれるようで何ともすがすがしい。
新たなことが始まる1年。
来る日のために1日を大切に重ねたい。
今年の12月31日のカレンダーをめくる朝は
どんなことを思っているのだろう。
お店はいよいよ、リフォームが始まった。
しばらくは雪のご機嫌を伺いながらになりそうだ。
冬という季節と温度
これからお店となる建物に、「燻製会」なる会のもと
UIターンの方たちが集まってくださった。
これから大幅にリフォームをするため
現状の建物としては、ありがたい見納め会となった。
この場所には、役場の方の紹介で出会うことができ
その場所にはいま、たくさんの方たちが集まっている。
私たちがいまめざすことへの道は
決して自分たちの手だけでは辿りつかないと
あたたかい気持ちでいっぱいになった。
会の最後には、雪の中で焚き火をした。
まだ6時というのに、あたりは降る雪さえも見えない闇の中で
ただつんとはりつめた寒さと、焚き火の暖かさを感じながら
そういえば冬の本当の温度に
ここ最近向き合っていないことに気づいた。
「寒い」という言葉は、悪い意味ではないのだ。
先日凍結で破裂してしまった水道管のことを思い出しながら
私たちはまだ、ここで過ごす本当の冬の姿を
まだ知らないのだと思った。
そして、これから出会うことのできる
いろいろの季節の姿があることに、
吹雪く雪にも全く負けない焚き火の炎を見つめながら
心がどきどきする心地がした。
無を信じる
今年も雪が積もり、ぐんと気温が下がった。
真っ白な風景を目の前にすると
ひとの力以外に、この世界に働いている大きな力に
ただただ圧倒される。
いろいろなことに悩み、不安を抱える日常の中で
ふと人の力の手の届かない場所に目を向けてみると
何をそんなに難しい顔をしているの、と言われているようで
肩のちからが抜け、心があるべき場所に落ち着く心地がするのだ。
自然とともに暮らすとは、きっとそういうこと。
そんなことを、この場所から伝えることができたら。
ただいま、浄化槽工事中。間もなく着工。
はじまりの冬
来春、念願であったお店「こめじるし」をオープンする。
新たな挑戦ではあるが、私たち夫婦にとってごく自然なことのようにも感じる。
お店を営むことは仕事をかえることではなく、私たちの生き方。
そう考えると、開店までの一つひとつの準備さえも
人としての成長に感じられ喜ばしい気持ちになる。
民藝品と出会ってからというもの
一つ一つの器に料理を盛ることや、カップにコーヒーを注ぐことが
まるで質の良い服に袖を通すようで、
ああ、そうか日々の器を選ぶということは
生きる心地を選ぶということだとうなずく日々。
日用品は人が生きるうえでの大切な伴侶。
こめじるしが良き伴侶と出会える場所になればうれしい。
少しづつ、少しづつ、私たちのお店づくりが進んでいる。
今月の営業日
お休み■
- 21日(火)は臨時休業です
2023年2月21日
- 27日(金)も臨時休業です
2023年1月27日
- 25日26日は積雪のため臨時休業
2023年1月24日
- 23日(金)は臨時休業
2022年12月23日
- 新店舗「食堂ソイル」は10月23日は店休日です。
2022年10月20日
- こめじるしのオープン延期について
2022年10月13日
- こめじるしと新店舗オープンについて
2022年10月2日