エピソード11
想像の先にあるもの
komejirushi
ある日の夕方、
「これからたくさん連れてくるけどいいかね」と
いつもお世話になっている近所のお父さんが来られた。
聞けば集落の新年会があり、ありがたいことに
その後こめじるしにという話になったそうだ。
「椅子はなくても、立ってでもいいから。」と
次々と集落の方が来られ、一気に店内はにぎやかに。
こんなに一度にたくさんの珈琲を
お出しするのも初めてだった。
「お子さんはどうかね。」「珈琲おいしいね。」
あちこちでいろいろな会話が飛び交い、
いつもとはまた違った雰囲気の店内。
新しい年が明け、少し肩に力が入っていたところ
ほどよく気持ちがゆるむ心地がした。
お店をこうしよう、こうしていくべきだ。
そんなことをよく私たちも考え、話すが
お店は私たちだけでできるのではなくて
きっとその想像を超えて、お客様によって
気づかされ、できていくことの方が多いのだろう。
この場所で、ここにいる方たちと、
そしてまだお会いしたことのないたくさんの方たちと
ここにしかない、こめじるしの形を
今年も少しずつ築いていきたい。