エピソード11
エピソード3
komejirushi
来てくださっていたのは、もう数年前のことになるが
鮮明に思い出すおじいちゃんと、おばあちゃんの常連さんがいた。
かなり高齢と見えて、耳の遠いおじいちゃんとおばあちゃん。
いつもこめじるしのコーヒーを美味しい、美味しいと
来てくださるたびにおっしゃってくださってくださっていた。
「運転の更新をしようかするまいか、迷っとるんじゃがね。」
そのセリフを来るたびに言われるようになってから
突然ぱたりと来られなくなった。
しばらくしてから、そのお二人の娘さんだという方が
コーヒー豆を買いによってくださった。
「2人がここのコーヒーが好きなんだけれど、
もう来られなくなったので。」
詳しくは聞かなかったが、もうあのお二人に会えないのだと思うと
とても寂しい気持ちになった。
それでも、「おいしい」と言ってくださった
おじいちゃんとおばあちゃんの気持ちと言葉は
私たちの中にずっと響いている。