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冬と落書き

komejirushi

この冬は雪がないので「こわいような気がするね。」なんて

お決まりの話をお客さまとしたりして

本当なら白い帽子をかぶっているはずの山々も

遠くの方まで頂上の様子を見ることができるほど。

 

「こんな年は山に水がなくてこまるだろう。」

「きっと楽なかわりに何かが起こるよ。」

何だか疑心暗鬼な心持ちが人の中に蔓延しているようで

森にある狂い咲きの椿を眺めてはどきどきしたまま

家に帰ると子供たちが帰ってきて

1歳の次女を抱っこすると

手のひらいっぱいに色とりどりの油性ペン。服の袖までも。

 

「もーちゃんが油性ペンのフタあけたけー。ごめん。」と長女。

次女はにこにこ満面の笑顔。

そんなささいなこと。でも、何だか心が晴れた心地がした。

 

 

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